iOS ビルドとプロパティ
はじめに
Clickteam Fusion 2.5 のガイドへようこそ! 本ガイドに記載されている情報の一部は、Multimedia Fusion 2 でも利用できます。 PDF 形式のチュートリアルやガイドはご自由に印刷してお読みください。 お好きな時間にご自身のペースで読み、学習していただけます。
本ガイドについてのご意見、ご感想をお待ちしております。 学習者のレベルに合わせたガイドを個別に作成するのではなく、初心者から中級、上級者まですべてのレベルの方が同じガイドで同じ目標を達成できればと考えております。
インディクリエイター Clickteam Fusion 2.5 と iOS エクスポータ for Clickteam Fusion 2.5 を使用すれば、 iPhone、 iPod、 iPad で動作する iOS アプリケーションを作成し、 App Storeで配布することができます。
iOS アプリの作成に必要なものは?
- OS X Snow Leopard 以降を搭載した Mac
- Apple 社の iOS デベロッパプログラムへの登録。 ご注意: 無料のデベロッパアカウントだけ登録し、 iOS シミュレータでアプリのテストをすることもできます。 その後、実機でテストして配布したくなったら、有料の iOS デベロッパプログラムに登録しましょう
- Xcode および最新の iOS SDK を上記 Mac にインストールしていること
- PC と Mac 間でのファイルのやり取りに必要な環境 (LAN または FTP 接続)。 Dropbox (www.dropbox.com) などのファイル共有サービスでも可
- 実機でテストするには、 iPhone、 iPod Touch、 iPad などの iOS 搭載デバイスが必要。 プロビジョニングファイル (profile-provisionning file) を取得してデバイスにインストールするため、登録処理を完了すること
iOS アプリ開発についてのドキュメントはどこから入手できますか? Clickteam Fusion 2.5 は iOS アプリの開発を容易にするものですが、それでも Apple 社が提供するドキュメントを読む必要は出てくるはずです。 特にプロビジョニングファイルを取得してデバイス上でアプリを動作させる方法、ベータテスターへのアプリ配布、 Apple にアプリを登録し、公開する方法などです。 iOS アプリ開発についてのドキュメントは次のウェブページ (英語) を参考にしてください: iOS 8 公式ガイド
1. iOS アプリケーションのビルド
作成したアプリを初めて Mac 上に移す:
- PC 上 (CF2.5) でアプリまたはゲームを作成します。 アプリケーションのビルドの種類は 「iOS Xcode プロジェクト」 を選択してください。 PC 上でアプリケーションをテストします。
- ファイル -> ビルド -> アプリケーション を選択し、 Zip 圧縮する Xcode プロジェクトの名前を入力します (アプリケーションと同じ名前.zip にしてください)。 コンパイルの準備ができた完全な Xcode プロジェクトを含む Zip ファイルが作成されます。
- 作成された Zip ファイルを Mac に転送します。
- Mac 上で Zip ファイルをダブルクリックして解凍します。 これで Xcode プロジェクトフォルダーの出来上がりです。
- Xcode を起動します。
- Xcode で "XXX.xcodeproj" ファイルを開きます。 XXX はあなたのアプリの名前です。
- 最初のビルドとして、左上のコンボボックスから "Simulator" を選択します。 注意: コンボボックスに "Base SDK missing" と表示された場合は、プロジェクト設定を開き、 Base SDK オプションを変更してください。
- "Build and run" をクリックします。 しばらくすると、エミュレータが開始され、あなたのアプリケーションを表示します。
開発中に行うこと :
これまでの作業で、あなたの Mac 上には Xcode プロジェクトが存在しています。 今後はアプリをテストする度に毎回プロジェクト全体を転送する必要はありません。 Clickteam Fusion 2.5 は、もっとシンプルな方法を提供します。
- Clickteam Fusion 2.5 のアプリケーションのプロパティ、「ビルドの種類」 で 「iOS アプリケーション (cci)」 を選択します。
- 通常通りにアプリケーションをビルドし、ファイル名として "Application.cci" を使用します。 これで "Application.cci" というファイルが作成されます。
- "Application.cci" を Mac に転送します。
- Mac 上で、このファイルを Xcode フォルダーのルートにコピーします。
- その後、 Xcode でプロジェクトをコンパイルします。 新しいアプリケーションが使用されます。
開発が終了したら :
アプリケーションを公開したい場合は、Xcode プロジェクトの最終バージョンが必要になります。
- Clickteam Fusion 2.5 のアプリケーションのプロパティ、「ビルドの種類」 で 「iOS ファイナル Xcode プロジェクト」 を選択します。
- アプリケーションをビルドし、Zip 圧縮する Xcode 名を入力します。
- 作成された Zip ファイルを Mac に転送します。
- Zip ファイルをダブルクリックします。
- Xcode で "XXX.xcodeproj" ファイルを開きます。 XXX はあなたのアプリの名前です。
- ビルドして実行します。 アプリケーションを公開するには、Apple 所定の手続きを行う必要があります。 詳しくはデベロッパ用ドキュメントを参照してください。
注意 : "iOS Xcode プロジェクト" と "iOS ファイナル Xcode プロジェクト" の違いは何でしょうか? 違いはエクステンションにあります。 開発中のプロジェクトは利用可能なすべてのエクステンションを含みますので、アプリケーションに新しいエクステンションを追加しても動作し、 cci ファイルを Xcode プロジェクトのフォルダーに直接コピーすることができます。 ファイナルのプロジェクトは、ファイルサイズを小さくするため、必要なエクステンションだけを含みます。 したがって、プロジェクト全体を再ビルドせずに新しいエクステンションを追加しても正しく動作しません。
2. iOS 固有のプロパティ
アプリケーションのプロパティでビルドの種類として iOS のいずれかを選択すると、新しいプロパティタブ (iOS オプション) が表示されます。 新しいプロパティの内容は次の通りです。
アプリケーションのプロパティ
これらのプロパティは、一番右の iOS オプション タブにあります。
- バンドル識別子
- あなたのアプリのバンドル識別子です。 Apple 社の推奨では、通常は "com.yourcompany.ApplicationName" の形になります。 プロビジョニングファイルを作成する場合は、 "com.yourcompany.*" のような名前を入力することをお勧めします。 末尾をアスタリスク ‘*’ にしておくと、複数のアプリで利用可能なプロビジョニングファイルにすることができます。 バンドル識別子は、 Mac に接続した実機上でアプリをテストし、 App Store でアプリを配布するために必要です。 詳しくは Apple 社提供のドキュメントをお読みください。
- バンドルバージョン
- あなたのアプリのバージョン番号です。 "1.0" のような形式で指定します。 "1.1.2.3" のように細かなサブバージョンを指定することもできます。 ただし、 iTunes 上でアプリを配布する場合、仕様により "1.0" のように短いバージョンになりますのでご注意ください。
- ターゲットデバイスファミリー
- アプリが対応する iOS デバイスを指定します。 "iPhone" を選択すると iPhone と iPod Touch が対応、 "iPad" を選択すると iPad が対応、 "iPhone - iPad" を選択するとすべてのデバイスが対応、ということになります。
- アーキテクチャ
- 本プロパティでは、Xcode がコードをコンパイルするデバイスを指定します。 アプリケーションを第四世代以降の iPhone のみ、またはiPad で動作するように作成したい場合は 「既定のアーキテクチャ」 を選択します。 古いデバイス (第二、第三世代の iPhone) でも動作させたい場合は、「すべてのアーキテクチャ」 を選択します。
- ステータスラインを表示
- iOS のステータスバーを非表示にしたい場合は、本プロパティを無効にしてください。 ステータスバーを表示すると、アプリケーションの一部が隠れることになります。
- 画面の方向
- 本プロパティでは、アプリケーション実行時の画面の向きを選択します。
- イメージ圧縮
- iOS デバイスで利用できるグラフィック メモリには限りがあります。 イメージの圧縮オプションでは、アプリケーションで使用されているグラフィックのサイズを減らすことができます。 2 つのオプションがあります : なし と 減色 です。 「減色」 を選択すると、画像は自動的に 65536 色 (不透明イメージ)、 32768 色 (任意の透過色) または 4096 色 (複数の透過レベルを持つアルファ チャンネル) のいずれかに変換されます。 このオプションは、画像のサイズを半分にします。 これにより画像の品質は低下しますが、特定のオブジェクトでこれを無視することも可能です。 詳しくはオブジェクトのプロパティをご確認ください。
- マルチタスク
- iOS 4 以降はマルチタスク環境です。 1 つのアプリケーションを使用した後、デバイスのホームボタンを押すと、そのアプリケーションはスリープモードに入り、バックグラウンドで存在していることになります。 アプリケーションリストで、そのアプリケーションをクリックすると復帰させることができます。 アプリケーションをマルチタスク対応にしたくない場合は、本プロパティを無効にしてください。 その場合、ユーザーがホームボタンを押すとアプリケーションは終了します。 注意: Apple はマルチタスクアプリケーションを推奨しています。
- アプリケーションアイコン (iPhone)
- 本プロパティは、ターゲットデバイスファミリーで iPhone か iPhone - iPad を選択してビルドした場合に使用される、アプリケーションのアイコンです。 114 x 114 ピクセルの画像で、デバイス上でアプリケーションを表示するのに使用されます。 編集ボタンをクリックすると編集できます。 デバイスが自動的に反射効果を追加しますので、自分で用意する必要はありません (用意すると Apple の審査で却下されます)。 フラットなアイコンを用意してください。
- アプリケーションアイコン (iPad)
- 本プロパティは、ターゲットデバイスファミリーで iPadか iPhone - iPad を選択してビルドした場合に使用されるアプリケーションのアイコンです。 144 x 144 ピクセルの画像で、デバイス上でアプリケーションを表示するのに使用されます。 編集ボタンをクリックすると編集できます。 反射効果の扱いについては iPhone の場合と同様、自分で用意する必要はありません。
- 起動イメージ (iPhone)
- 本プロパティでは、ターゲットデバイスファミリーで iPhone か iPhone - iPad を選択してビルドした場合、アプリケーションのローディング中にデバイスに表示されるイメージを設定します。 タイトル画像やアプリケーションの最初のフレームを表すものにしてください。 これは 640 x 960 ピクセルの画像です。
- 起動イメージ (iPad)
- 本プロパティでは、ターゲットデバイスファミリーで iPad か iPhone - iPad を選択してビルドした場合、アプリケーションのローディング中にデバイスに表示されるイメージを設定します。 これは 1536 x 2048 ピクセルの画像です。
- iTunes アートワーク
- 本プロパティでは、 iTunes で使用される画像を設定します。 サイズは 512 x 512 ピクセルで、アプリケーションアイコンと同じデザインでなければなりません (同じでないと Apple に却下されます)。 反射効果も追加してはいけません。
- ジョイスティックイメージ
- タッチジョイスティックのイメージを設定します。 詳細はジョイスティックのプロパティを参照してください。
- iAd を有効化
- アプリケーション内で iAd バナーの使用を許可します。
- 画面下部に広告を表示
- 画面上部ではなく、下部に広告を表示します。
- 表示
- アプリケーションの画面表示方法を選択します。 6 つのオプションがあります:
- 中央
- デバイスに関係なく、拡大縮小を行いません。ウィンドウが画面の中央にセンタリングされます。iPhone 3GS の解像度を持つアプリの場合、Retina ディスプレイの iPad や iPhone 上では小さく見えるでしょう。
- ウィンドウ サイズを調整
- このオプションでは、拡大/縮小は行いません。 画面に黒い部分が表示されないようにウィンドウを拡張して残りの領域を埋めます。このオプションではフレームがいくつも表示されることになります。実際のウィンドウ サイズはデバイスの解像度と全く同じとなり、フレームはこのオプションをサポートするのに十分なサイズが必要です。 これらはフレームの最小サイズです: ランドスケープモード (横向き) では幅と高さは入れ替わります。 注意: 必要に応じてフレームの開始時に、ランタイムでフレームサイズを変更することができます。
デバイス 最少フレームサイズ iPhone 3 & 3GS 320 x 480 iPhone 4 & 4S 640 x 960 iPhone 5 1136 x 640 iPad 1 & 2 768 x 1024 iPad 3 2048 x 1536
- 内側に合わせる (黒帯を表示)
- このオプションは、縦横比を維持しながら、画面の内側に収まるようにアプリケーションコンテンツを拡大表示します。 アプリケーション ウィンドウとデバイスのディスプレイの縦横比が一致しない場合、コンテンツは画面の中央に表示されて、端に黒い境界線が表示されます。 これは既定のオプションです。
- 内側に合わせてウィンドウサイズを調整
- このオプションは、縦横比を維持しながら、画面の内側に収まるようにアプリケーションコンテンツを拡大表示します。 アプリケーション ウィンドウとデバイスのディスプレイの縦横比が一致しない場合、画面に黒い部分が表示されないようにウィンドウを拡張して残りの領域を埋めます。 このオプションではフレームがいくつも表示されることになります。 新しい領域を表示するのに十分なサイズのフレームが必要です。
- 外側に合わせる
- このオプションは、画面に黒い部分が表示されないように、アプリケーション コンテンツを拡大して画面全体を埋めます。 この場合、画面の外側に出てしまった部分は表示されません。
- 全体に引き伸ばす
- 縦横比を無視して、ディスプレイ全体を埋めるようにコンテンツを引き伸ばします。 アプリケーション ウィンドウとデバイスのディスプレイの縦横比が一致しない場合、画面がつぶれて表示されます。 これらのプロパティは、プロパティ エクスプローラの右の Android フォルダにあります。
- タッチモード
- 「シングルタッチ」 か 「マルチタッチ」 のいずれかを選択します。 「シングルタッチ」 を選択した場合、1 本の指 (最初に画面にタッチした指) のみが認識されます。 マルチタッチ オブジェクトを使用して複数のタッチを検出する場合は、「マルチタッチ」 を選択してください。 「マルチタッチ」 のほうがバッテリーを消費しますので、必要な場合のみにお使いください。 最初のタッチ (またはシングルタッチ) は Clickteam fusion 2.5 におけるマウスポインタの座標に自動的にマッピングされますので、マウスを使用したアプリケーションの作成も問題ありません。
- アイドルタイマーを無効化
- 作成したゲームでユーザーが画面をタッチする必要がない場合 (加速度センサーの使用や静的フレームの場合)、一定時間が経過するとデバイスは自動的にスリープモードに入ります。 そのような場合、本プロパティを有効にすることでスリープモードに入ることを防ぐことができます。 本プロパティが有効の場合、フレームの表示時間中、デバイスはフルパワーで常時 On のままになります。 バッテリーを著しく消費してしまうこともありますので、使用にはご注意ください。
- iPhone ジョイスティック / デバイス
- Clickteam Fusion 2.5 を使用して作成した iOS アプリケーションでは、ジョイスティックをエミュレートすることができます。 したがって、ジョイスティックでコントロールされる Clickteam Fusion 2.5 の既定の動作が使用可能です。 このコンボボックスではジョイスティックの種類を選択します :
- なし: ジョイスティックは表示されません。フレームにジョイスティックでコントロールする動作が含まれない場合にのみこのプロパティを選択してください。
- タッチジョイスティック: ジョイスティックはデバイス画面下部に表示されます。これは指を使って動作をコントロールできます。 ジョイスティックには、パドルボタンと 2 つの発射ボタンがあります。
- 加速度センサー: 動作はデバイスの位置によりコントロールされます。 2 つの発射ボタンが画面に表示されます。
- エクステンションでコントロール: ジョイスティックコントロールオブジェクトを使用して、手動でジョイスティックの開始、停止を行うにはこのプロパティを選択します。 このプロパティに設定されていない場合、ジョイスティックコントロールオブジェクトは動作しません。
- 発射 1 ボタン
- 発射 1 ボタンを表示したい場合に選択します。
- 発射 2 ボタン
- 発射 2 ボタンを表示したい場合に選択します。
- 左利き
- このオプションを選択するとパドルを右にボタンを左に表示します。
- iAd を表示
- 表示可能な場合は iAd バナーを表示します。 無効の場合、バナーは表示されません。
オブジェクトのプロパティ
これらのプロパティは、プロパティ エクスプローラの右の iOS オプションタブにあります。
- イメージ圧縮
- オブジェクトイメージの圧縮モードを調整します。 以下の 3 つのオプションが利用可能です :
- 既定 : アプリケーションのイメージ圧縮モードが使用されます。 詳細はアプリケーションのプロパティの項を参照してください。
- なし : アプリケーションのイメージ圧縮プロパティが減色に設定されている場合でもオブジェクトのイメージは圧縮を行いません。
- 減色 : アプリケーションのイメージ圧縮プロパティがなしに設定されている場合でもオブジェクトのイメージは圧縮を行います。
Clickteam Fusion 2.5 では、ある結果を得るための方法は 1 つに限定されません。本ガイドでは、それらのうち、最も一般的かつ簡単で効果的と思われる方法をご紹介しますが、方法はそれだけだけではない、ということを頭の片隅に留めておいてください。
本ガイドは、ゲームであれ、アプリケーションであれ、 Clickteam Fusion 2.5 を使って開発を行おうとお考えの方に、知りたいことを丁寧に説明することを目指して作成いたしました。